朝日がカーテンの間から部屋に入ってきた。
「…朝か。」
眠い目をこすりながらカーテンを開けた。
ふと昨日の男子のことを思い出す。
「なんでだろ。」
まぁいっかとか思いながら階段を降りて1階に行った。
「…おはよ。」
なにも聞こえない。親は仕事。
テーブルを見ると置き手紙がある。

『お母さんは夜勤で帰れません。
お父さんは出張みたいです。
そこにお金あるので、スーパー行って
ご飯買ってください』

「…はぁ。」
ため息が出る。私の家の親はほとんど夜いない。いても、早朝に出てく感じ。
最初は何をしても良かったから嬉しかったけど、最初は寂しい気持ちが増えてきた。

朝ごはんを食べて、弁当を詰めて、制服に着替えて、家を出る。

今日は、向かい風。
サイアクとか思いながら、重い自転車のペダルを踏む。
すると、前から自転車が来た。

え、あの人って…

と思ってすれ違う時横を見た。

「あっ」
思わず声が出た。
昨日のあの男子だ。

心臓がうるさい。ドクドクゆって止まらない。風が吹いて寒いけど、体は熱くなっていく。

『キーンコーンカーンコーン…』

「ねぇ、美咲!」

「…」

「みーさーきー?」

「…えっ!?なに!?」

「なにボーッとしてんの」

じゃがりこを食べながら私の顔を下から覗いてくる。

「あ、はるちゃん。どーしたの?」

「どーしたのじゃないよ。てか、こっちのセリフ!それ!」

「あはは、ごめんね。はるちゃん。てゆーか、じゃがりこ制服にポロポロ落ちてるよ?」

「きゃあ!ヤバ!ちょっと待っててね!」

とか言ってトイレの方へ走っていった。
みんな笑ってるし(笑)
はるちゃんいつも、おもしろいんだよねー。
私の唯一の友達かも。
はるちゃんは、一番最初に声をかけてくれた子。
教室でいつも1人で本を読んでる私に、

「その本、おもしろいっ!?」

って声をかけてくれた。
私、人と喋るの苦手だから、冗談とか言えなくてそのままの感想言ったら、はるちゃんすごく笑ってくれて、

「みさき、めっちゃおもしろい!天然?」

って。
それから、仲良くなったの。
今みんな私に親切にしてくれる。それもはるちゃんのおかげ。

そうやってボーっとしてたら、はるちゃんが帰ってきた。

「ねぇ、はるちゃん。今日私の家に泊まりにこない?」
思いついたから言ってみた。

「えっ!?みさきから誘われんの初めてかも!めっちゃうれしい!行く行く〜!」

「ありがと!」