カーテンの隙間から差し込む光の眩しさに顔をしかめて、ユアンはうっすらと目を開けた。

顔を照らす朝日から逃げるように、なんとなくだるい身体で寝返りをうってうつぶせになる。

上半身は何も身につけておらず、はだけた毛布から覗く白い背中は程よい筋肉がつき引き締まっている。

いつものことではあるが、なんだか頭が重い。

肌触りの違うベッドの感触に、ここがノルディア城の客室であることをぼんやりとした思考で思い出す。

昨夜飲んだワインのせいか、最悪の寝起きに朝から気が滅入る。

眠気はもうないけれど、もう一度眠ってしまおうと目を閉じようとした時だった。

規則正しく扉を叩く音に邪魔され、ユアンは仕方なく起き上がった。


『失礼致します。
ユアン様、おはようございます。
よくお眠りになられましたか?』


礼儀正しくお辞儀をして部屋へと入ってきたのはユアン専属の執事、ヨハンだった。

ユアンの身の回りの世話をするために、ギルト王国から一緒にやってきている。

年齢は60代半ばを過ぎ、髪には白髪も目立っているものの、姿勢もよくかなり若々しい。