「わたしはリリーのおかげでクリフォード王子とも直接お話できたし、実は大満足してるのよね。
信じられないくらい素敵だったもの…同じ人間とは思えないくらい美しくて…
リリーもそう思ったでしょう!?」

「え?…う、うん…」

「…リリー。
本当に気にしなくてよさそうだぞ。
そんなに思いつめるなよ」

アランが言うように、確かにクレアはイヤリングのことよりもクリフォード王子に夢中のようだ。

今も思い出しているのか、うっとりと目を閉じてこちらの話は聞こえていない。

「明日、また城に行くのか?」

「うん。そのつもり…」

「そうか…明日は夕方からだったら一緒に行ってやれるんだけど、どうする?」

「えっ、平気だよっ。
これ以上迷惑かけられないし、ひとりでも大丈夫。
でも、ありがとね、アラン」

「いや、迷惑なんて思ってないけど…」

心配をかけないように笑顔を見せるリリーに、心配だから一緒に行く、とはアランもなかなか言い出せない。

気がつくと、すでにリリーは隣ではしゃいでいるクレアとクリフォード王子のことについて話し始めていた。