腹黒王子と秘密の契約

執事のトーマスの後に続いて、アランはさっさと外へ出ていってしまった。

クレアと残されたリリーは、不安を滲ませたような顔で俯く。

「またこんなに迷惑かけちゃって、アランももう呆れて許してくれないかな…」

「リリー…」

肩を落として落ち込むリリーを気遣うように、クレアはリリーの両手を包み込んで優しく握る。

「アランも、ただ怒ってるわけじゃないのよ。
だって本当に心配してたもの…」

「うん…わかってる。
アランにはもう一度謝らないとね。
クレアもごめんなさい。あと…ありがとう」

「うふふ。私はリリーが無事に見つかっただけでいいの!
さ!あんまり待たせると、またアランが怒り出しちゃうわ。帰りましょ!」

「ふふ。そうだね」