「まだお話中だと思うから、一緒に行きましょう?案内するわ」

「ええ。リリーも一緒に来てくれる?」

「うん、でも…お仕事のお話ならお邪魔になっちゃうし、わたしは待ってるよ」

「え、大丈夫よ。そんなこと気にしないで?」

すでにレイチェルが先立って歩き出していたけれど、遠慮して動かないリリーにクレアが慌てて駆け寄ってくる。

気遣ってくれるクレアを心配させないように、リリーは笑顔を作ってみせた。

「ううん、実はちょっと慣れないヒールで疲れちゃったんだ。
だから少し休憩したくて。
わたしは大丈夫だから、クレアは気にしないで行ってきて。ね?」

「そう?…じゃあ、少しだけ」

「クレアったら、そんな心配しないで!
子供じゃないし、平気だってば」

「なるべくすぐ戻るから」と申し訳なさそうに言い残して、クレアは待っていたレイチェルと一緒にその場を離れていく。

その後ろ姿が大勢の人の中に見えなくなると、リリーは小さく安堵の息を吐いた。

パーティーは楽しみにしていたし、出席したことを後悔しているわけではないけれど、緊張続きで少し疲れてしまった。