電話での母とのやりとりも、リリーをとても落ち込ませた。


「リリー、ごめんね。
お母さんもお父さんも、リリーが一生懸命勉強しているのを一番に応援してあげたいのに。
もしかしたら、諦めさせなくちゃいけなくなるかもしれない…
どうしても、そんなこと電話で直接言い出せなくて、手紙を送ったの」


いくら遠く離れた場所にいるからといっても、今まで全く気づけなかった自分が、リリーは恥ずかしくて、腹立たしかった。

母の悲しそうな声を聞いたら、何を言えばいいのかわからなくて、ただ小さく返事をすることしかできなかった。


「でも、お母さんもお父さんも、もう少し頑張るからね!
だからリリーも不安かもしれないけど、勉強頑張って!
あと、これからどんどん寒くなるから身体にも気をつけるのよ」


最後に優しくそう言われて、リリーは弱々しく「うん」と答えてから電話を切った。

ひどく泣きたい気分だったけれど、自分のために頑張ってくれている両親を思い、必死に堪える。

今はとにかく、学園での勉強を頑張ること、それが両親に対して自分ができる唯一のことのような気がした。