その夜リリーはクレアによって、着せ替え人形のようにたくさんのドレスを着せられた。

素敵なドレスに身を包まれると、まるで本当のお姫様になったような気分になって、リリーも鏡の中の自分に驚く。

クレアによって完璧にコーディネートされたこの姿で、お城のパーティーに出席する自分を想像してみる。

まるで子供の頃に憧れた、絵本の中の出来事のようだ。

そんな華やかな世界とは全く縁のなかったリリーは、少しの不安とドキドキするような期待に胸を震わせる。

もし本当に、会えたなら___

絵本の中の王子様に恋焦がれていた、幼い少女の頃の自分を思い出す。

懐かしい胸のときめきが、リリーの心にふんわりと温かな明かりを灯していた。