腹黒王子と秘密の契約

「リリー、詳しいことはわからないが、お城の方が直々にお迎えに来てくださるなんて…
もう店は大丈夫だから、すぐに行ってきたほうがいいだろう」

「え、でも…」

気がつくとリリー達の様子を見ていたのか、リリーはすぐ背後に立っていたマーカスにそっと肩を叩かれた。

「今日もいつも以上にたくさん働いてくれたじゃないか。
もう忙しくなることはないだろうし、気にしないでいいんだよ」

確かに本音を言えば今すぐにでも城へと赴き、未だ行方不明である片方のイヤリングを城内の隅々まで探し回りたい。

もし本当に見つかったのかもしれないなら、早く確認しに行きたいのは確かだけれど。

客足は途絶えたとはいえ、まだ仕事中であることを気にするリリーが戸惑うような表情を見せると、マーカスもヘレンもいつもどおりの温かみのある笑顔で送り出そうとしてくれる。

リリーは二人に素直にお礼をして挨拶をすると、黙って成り行きを見守っていたトーマスと共に店を後にした。