「そっか…パレードがあるんだっけ」

立ち止まったリリーの横を通り過ぎていく人々は、誰もが皆楽しそうに笑っている。

それに比べて王都の通りに延々と続く店々のショーウィンドウに映るリリーは、暗く沈んだなんとも情けない顔をしていた。

「ひどい顔…」

本当はパレードを見に行く気分ではなかったけれど、セリーナ王妃が着る予定だというシルヴィアの作ったドレスを見たい気持ちもある。

リリーが少し悩んでいると、パレードを待つ群衆の歓声が一際賑やかになった。

どうやらパレードが始まったらしい。

まっすぐ家へと帰ろうとしていたリリーはやはり踵を返すと、人だかりの方へと急ぎ足で歩き出した。