どうすればいいのか頭の中で必死に解決策を探しながら歩いているうちに、リリーは城門までたどり着いていた。

先程もいた門番の近衛兵に軽くお辞儀をすると、来た時とは比べ物にならないほどあっさりと通される。

リリーのその落ち込みようから、近衛兵にも落し物とやらは見つからなかったのだろうことがわかるだろう。

俯いたまま肩を落として立ち去るリリーは、今にも泣き出してしまいそうに見えた。





ノルディア城を後にするリリーの姿を執務室の窓から眺めていたクリフォードは、先ほど受けたトーマスからの報告のことを考えていた。

昨夜城内に迷い込んでいたあの少女と、ギルト王国の若き国王。

接点などないはずの二人の関係とはどんなものなのか。

今までどのパーティーでも見かけたことがない素性のわからない少女は、扱いづらそうなユアンをいとも簡単に笑顔にさせることができるらしい。

「確かに、おもしろいな」

そうひとりで呟くと、ジャケットの内ポケットから何かを取り出す。