「はあーっ!? フ、フラれた……?」





お昼下がりの教室。


響き渡る声に教室内が一気に静まり返る。



その声の持ち主は、あたしの友達である佐々木萌(ささき もえ)のものだ。



いやあのね、萌。


驚くのはいいんだけど、声がデカすぎんだって……




「……だから、そうだってば」




「ちょっと、状況が理解できないんだけど!?」




「あー……分かったって。ちゃんと説明するから」




って言っても、説明も何もないんだけどさ。




と、ため息をつくあたし。


長野原羽七(ながのはら はな)、高校2年生。





先ほど申し上げたとおり、この度……




───彼氏にフラれました。