玲君のバカ……。
「玲、どうしたんだろうね。」
香奈ちゃんが言う。
「いない方が良いよ…」
私は言う。
本当に嫌だったんだから…。
「そんな顔してる雪乃初めて見たよ?本当は…」
「もういいの…。」
玲君の事なんか好きじゃ…
好きじゃ……
頭には玲君ばっかり浮かぶ。
私をおぶった珍しく優しい玲君。
時折見せる意地悪な笑顔。
強引に私を連れ去り、告白してきた時の真剣な表情。
なんで……?
嫌な人の事がこんなにも頭に浮かぶ…。
玲君………。
なんで………?
「雪乃……。」
気が付いたら涙目になってた。
あー…だめな私。
私
本当は………。
本当は……
玲君の事……。
玲君は幼なじみの女の子と仲良く話してる。
嫌だよ………。
今日は玲君は家に帰らなかった。
玲君………。
もう辛いよ。
どうにかしたいこの気持ち。
明日は私の誕生日。
でも……。
――――翌日。
「おめでとう。雪乃。」
学校に着くと香奈ちゃんがプレゼントをくれた。
「ありがと…。」
「大丈夫?」
香奈ちゃんは私を心配してくれる。
「………うん。」
「はっきし言いなよ。このままだと辛いよ?雪乃」
このままだと辛い……。
私……
「マジかよ!?」
「そうだよ!!」
玲君は今日も楽しそう。
ひどいよ…玲君。
いくら私を苦しめるのが好きだからってこれは…
「玲君っ。」
私は玲君を呼ぶ。
「なんだよ?」
玲君は冷たい表情で私を見る。
――ズキン…
玲君……。


