「奏くん、行ってくるね!」
仏壇の真ん中には満面の笑みを浮かべている幼馴染みの奏くんの写真が置いてある。
学校に行く前は必ずこうやって奏くんに手を合わせている。
「奏くんママ!ありがとう!」
「毎日ありがとうね。きっと奏も喜んでるわよ」
部屋から出た私は階段を降り、台所に立っている奏くんママにお礼の挨拶を言う。
「今日から妃ちゃんも高校生ね~!」
「うんっ!今からクラス発表ドキドキだよ~」
高鳴る心臓の音をぎゅっと抑えカバンを取る。
「気をつけて行くのよ?」
「はい!それじゃあ行ってきますッ」
「いってらっしゃい」
電車で20分のところにある高校。
そこは奏がずっと行きたがってた高校でもある。
学校に向かう途中には大きな桜並木があって、横にはさらさらと流れる川もある。
奏くん、自然が大好きだったからここの高校を選んだのかな?
にしても高校生ってなんだかいいなぁ!
ずっと憧れてたブレザー!!!
「えへへっ」
「何笑ってんのよ?」
「へっ!?わッ」
真後ろにいたのは親友の佐伯五十鈴。
妃はくるりと後ろを向きふにゃりと顔を緩ませる。
「いっちゃん!おはよう」
「おはよう」
「またいっちゃんと同じ学校に通えるんだね」
2人は桜の木が並ぶ少し長い道を歩き出す。
妃と五十鈴は中学からの付き合いでお互いがお互い、良き理解者である。
「今日も奏くんに挨拶してきたよ!」
「毎日偉いね、妃は」
「だって奏くん寂しがり屋さんでしょ?」
「そうだった。私も挨拶に行かないとね?今度連れてってよ」
「はーい」
「で、妃。新しい人、見つけないの?」
突然強い風が吹き桜の花びらが舞う。
妃のふわりとした髪が風に靡き甘い匂いを漂わせる。
「いっちゃん頭に花びらついてるよ?」
一歩近づいてピンク色の花びらをとろうとした瞬間、五十鈴は妃の手首を柔く掴む。
「私は反対しないけど、前に進まなくちゃ」
「……もう少し待ってて欲しい、かな」
まだ、まだ奏くんを好きでいたい。
あんなに大好きだった奏くんを簡単に忘れたくないんだ。
「うん。分かった」
「ありがとう」
私には忘れられない恋がある。
それは切なくて甘い恋。
その恋は幼い私には早すぎて一瞬のように過ぎ去ってしまった。
きっと………………………
仏壇の真ん中には満面の笑みを浮かべている幼馴染みの奏くんの写真が置いてある。
学校に行く前は必ずこうやって奏くんに手を合わせている。
「奏くんママ!ありがとう!」
「毎日ありがとうね。きっと奏も喜んでるわよ」
部屋から出た私は階段を降り、台所に立っている奏くんママにお礼の挨拶を言う。
「今日から妃ちゃんも高校生ね~!」
「うんっ!今からクラス発表ドキドキだよ~」
高鳴る心臓の音をぎゅっと抑えカバンを取る。
「気をつけて行くのよ?」
「はい!それじゃあ行ってきますッ」
「いってらっしゃい」
電車で20分のところにある高校。
そこは奏がずっと行きたがってた高校でもある。
学校に向かう途中には大きな桜並木があって、横にはさらさらと流れる川もある。
奏くん、自然が大好きだったからここの高校を選んだのかな?
にしても高校生ってなんだかいいなぁ!
ずっと憧れてたブレザー!!!
「えへへっ」
「何笑ってんのよ?」
「へっ!?わッ」
真後ろにいたのは親友の佐伯五十鈴。
妃はくるりと後ろを向きふにゃりと顔を緩ませる。
「いっちゃん!おはよう」
「おはよう」
「またいっちゃんと同じ学校に通えるんだね」
2人は桜の木が並ぶ少し長い道を歩き出す。
妃と五十鈴は中学からの付き合いでお互いがお互い、良き理解者である。
「今日も奏くんに挨拶してきたよ!」
「毎日偉いね、妃は」
「だって奏くん寂しがり屋さんでしょ?」
「そうだった。私も挨拶に行かないとね?今度連れてってよ」
「はーい」
「で、妃。新しい人、見つけないの?」
突然強い風が吹き桜の花びらが舞う。
妃のふわりとした髪が風に靡き甘い匂いを漂わせる。
「いっちゃん頭に花びらついてるよ?」
一歩近づいてピンク色の花びらをとろうとした瞬間、五十鈴は妃の手首を柔く掴む。
「私は反対しないけど、前に進まなくちゃ」
「……もう少し待ってて欲しい、かな」
まだ、まだ奏くんを好きでいたい。
あんなに大好きだった奏くんを簡単に忘れたくないんだ。
「うん。分かった」
「ありがとう」
私には忘れられない恋がある。
それは切なくて甘い恋。
その恋は幼い私には早すぎて一瞬のように過ぎ去ってしまった。
きっと………………………