莉那が、ピアノで一番をとったあの日を境に、私の仕事は徐々になくなった。
きっと、母が事務所の契約更新を打ち切ったんだと思う。
妹の方に力を入れて行きたくて。
私は、暇になった。
土日になると必ず都内に出ていたのに、それが急になくなったから。
「香那ちゃん、明日、仕事?
違うなら、遊ばない?」
金曜日の放課後、同級生の子がモジモジしながら話しかけてきた。
事務所を辞めたことは、誰にも言ってない。
恥ずかしくて、小さな私のプライドが許さなかった。
「どうだったかな、確か〜暇だったと思う。」
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