やや暗い廊下を通っていくつかの扉を過ぎて、アンティークなドアノブの扉の前で止まった。
「はい、どうぞ。」
頼之さんがそう言いながら戸を開けてくれた。

おおー!
一面ガラス張り-!
その向こうは、大きな枝垂れ桜と、遠くに青い海!

「すごーい!」
「日中より夜のほうがいいねんけどな。月光が海に映えて。」

そう言いながら、頼之さんは光を抱き上げて窓に近づけた。
「見えるか~?……あかん、寝とる。」
頼之さんは残念そうに、光をバスケットに戻した。

「起きたら見せたげて。」
ガラスに張り付いて桜を見上げながらそう言った。

ら、いつの間にか背後に頼之さんが立っていた。
……う……緊張してきた。
桜と海に気をとられたけど、ガラスにおっきなベッドがしっかり映ってたりする。

「ここって、メインゲストルーム、とかって感じ?」
「メイン、かな?いくつかの部屋があるけど、後で覗くか?」
「うん!見たい!」
「後で、な。」
そう言って、頼之さんはニッコリ笑って、私をヒョイッとお姫さま抱っこすると、ベッドにそっとおろした。

恥ずかしくて思わず両手で顔を隠したけど、頼之さんは鼻歌まじりに私の服を脱がせ始めた。
え~!
身体をよじってジタバタしたけれど全然邪魔できない。
両手も使ってちょっと抵抗してみたら、頼之さんはそれを待ってたらしく上から覆い被さるように近づいてきてキスした。

う……
そこからは、もう何の抵抗もできなくなってしまった。
頼之さんに口中を征服されて、それだけでもう身体が……。

「かわいい。あおい、かわいい。」
何度もそう言ってもらって……経産婦の負い目も溶かされてゆく。
明るさに恥じらいながらも、幸せの中で……私は頼之さんのモノになった。


頼之さんの体力を舐めてたかもしれない。
……伊達にサッカー部キャプテンじゃなかったのね……。
途中で光が目覚めて泣いてくれなかったら、私は壊れてしまったかもしれない。
それぐらい……よかった。

「光、お腹すいとーみたい。……飲ませてあげられる?」
頼之さんは裸のまま光のおむつを替えてから、私にそう聞いた。

「……あ~……このままでいい?」
ええ、もう、起きられません……当分、無理。

ぐったりしてる私の胸に、頼之さんは光をそっとおろした。
頼之さんは、光がおっぱいを飲むのを至近距離からじーっと凝視していた。
「……恥ずかしいんやけど。」

シーツで隠そうとしたけれど、頼之さんは私の手を止めた。
「見たい。今まで我慢してたし、見せて。聖母マリアみたいで神々しいで。」

え~~~恥ずかしいのにぃ。
頼之さんは私のすぐ横に寝転び、光が含んでいない、あいているほうをいつまでも玩んでいた。

光はお腹が膨れたら満足してくれるけど、頼之さんは……2年分の想いのたけは1度抱いたぐらいでは足りないそうだ。

結局、その夜はお泊まりとなった。

私たちは須磨の美しい月と遅咲きの夜桜を愛でる暇もないぐらい、狂おしく抱き合った。