妖しの姫と天才剣士




「––––で、お前は行くのか? 茅野」



事のあらましを話すと呆れた顔の土方さん。


私に呆れられても困る。



「はい」


思っていたよりもすんなり出された言葉。


その言葉は私が必死に封じようとした蓋を簡単に開けてくる。


知りたい。


そう思う気持ちは押さえられなかった。


却下されるだろうと思っていたけど。


「……良いだろう。ただ、一つだけ条件を付ける」



土方さんは眼光を強める。


でも言われた言葉は拍子抜けのようで私に今日一番の衝撃をもたらした。



「誰かと一緒に行け。……総司ならいいんじゃ」

「ゴホッ、ゴホッ!」



⁉︎


急に総司の名前が出てきて思わず噎せる。



「な、何で、総司ですか?」



名前が出てきた途端、あの夜を思い出して顔が火照る。


恥ずかしい。



「一番仲良いだろ? お前ら。でも最近はそうでも……。何かあったのか?」

「いえ、何でも」


あの夜の事は絶対に話せない。


無理!


「別に嫌なら他の奴でも良いぞ?斉藤に藤堂に、原田に、永倉でも。

ただ、後の三人はいない可能性が高いがな。最近も島原ばっかに行ってるしな」



他に出された名前。でも、行けそうな人が居ないや。


斎藤さんと二人きりは流石にキツイかな?


基本的に喋った事ないし。


後の三人はたしかに居なさそう〜。