妖しの姫と天才剣士




その顔は心なしか安らかに見えた。


でも、私の中にはいろんなことがぐちゃぐちゃに絡まって整理ができない。


あの私は何?


声の主は誰?


どうして、私はあんなにも徹底的に芹沢さんをいたぶったの?


混乱した私の隣で土方さんは慌てふためいている。



「おい、こいつの妾は……」



そこで今更になって気が付いた。


周りには飛び散っていた筈の血も、割れた畳もない。


芹沢さんの体にできた傷から血が溢れ出すのみだった。


そしてここには一緒に寝てたはずのお梅さんが居ない。





「小雪はんが芹沢はんの刺客だったのですね」