妖しの姫と天才剣士




けど、その刀は別の刀に止められた。その影は私が見た事のある者で……!



「そ……!」

「新選組一番隊隊長沖田総司、いざ参る!」



総司も戦線に割り込み、その後は簡単に片付いた。


ほぅと総司が緊張を解いたのを見て私も一息ついた。


それを見て思うけど、やっぱり総司は天才だと思う。


一つ一つの動きに無駄がなかった。



「大丈夫ですか? お嬢さん」

「…………お、お嬢……⁉︎」



…………私の事?


愛想笑いを浮かべた総司に思わず後ずさりしてしまう。

普段との差が……。


いつもは茅野ちゃんだから……さ。



「すまんのう総司。小雪の事は助かった」



見上げた芹沢さんの耳は元通り。


その時間を図っていたのだろうか、総司は。



「いえいえ。芹沢さんには彼女を頼みました。僕はこの場の後処理を」



総司は立ち上がって私に手を差し出す。


引っ張られて思わず肩に顔を埋める形に。


その温かさにビクッと肩が揺れる。


顔が熱くなって仕方ない。


なんだろ、私おかしいよね⁉︎



「この事は土方さんに報告しておくから。茅野ちゃんはずっとあの場所に居て」



あの場所とは八木邸の事だろう。



「分かった」



私は小さな声で答えると軽くお辞儀をして、総司の側を離れた。


それでも、火照った顔はなおらない。



「すまんかったのう……。こんな事に巻き込むとは思って居らんかったのじゃ」

「私は気にしていません? 仕方ないですよ、芹沢さん新選組の局長なんですから。

……まぁ初めてあんな場に居合わせて驚いてはいますけれどね」