妖しの姫と天才剣士





「え……遠慮させて頂きます」



新選組に良い人が居るなんて失礼だけれども思えなかった。


皆、野蛮だからなぁ〜。


それに、そんな事に溺れているような自分が想像できない。



「そうか……残念じゃのう」



何が残念なのかな?


芹沢さんが呟いた直後。



「其処にいるのは芹沢鴨とお見受けする! 」



そこに居たのは長州の志士達だ。


いつの間にか囲まれていた。


しかも、帰り道で人通りの少ない場所に居る私たちの状況は危険以外の何者でもない。


私はそっと懐に忍ばせていた短刀に手を伸ばす。


いつものように刀は持ち歩けないから。懐に入れておける物を借りた。


でも、これは最終手段だった。これを使ってしまったら怪しまれる。



「我ら同志の仇‼︎」

「下がっておれ! 小雪!」



芹沢さんに言われるまま、私は戦線からは少し距離を取った。