「すまんのぉ、小雪。

久しゅうお梅に着物を贈って居らんくて、新たらしい物を贈ってやりとうてなぁ」


つまりは、お梅さんに新しい着物を選ぶのに付き合って欲しかったという事だろう。


怪しまれていた訳ではない事にひとまず一安心。

でも。


私よりも適任は居なかったの?


奥さん……とか。






呉服屋についたものの、質問をされても「はぁ……」としか返しようがない。


それでも、決まったようでなので良かった。


でも、私が居る必要あったのだろうか?

一人で決めて行ってしまった。



「それでは30両になります」



店主が言った金額。


その金額の大きさに熱がすうっと引いていく。


……この金額、私が一式揃えた時よりも高くないか?


たしか、あれだけ揃えてもこの半分くらいだったような……。


いや、それよりも下だった自信がある。



「うむ。今日もそれをツケてくれるのだな」

「え……?」



そんなの、無理な筈だ。


だって…………大金だよ。