私はすぐさま戻ると袴から着物へと着替えた。
化粧なんて事出来る筈もなく、私はようやく慣れてきた髪を結い上げる。
そこで、ようやく一息ついた。
良かった。ここまでの道のりで芹沢さんたちには会わなかった。
「おい、小雪。……やはり、居らんかのぅ……」
「芹沢さん? 私なら居りますよ」
もしかして私、怪しまれてる?
恐る恐る障子を開く。
するとそこには芹沢さんが少し困ったような顔をして立っていた。
「すまん、小雪。少しわしに付き合うてはくれぬか?」
「はい?」
言われた事に私はしばらく頭がついていかなかった。