「ああ、起きたか」



襖の奥から顔を出した土方さん。その顔は心なしか赤いような……。


その隙間から奥を覗くとべろんべろんに泥酔した藤堂くんと永倉さんが見えた。


その二人は左之さんと斉藤さんに抱えられて部屋を退室している。



「佳鈴が酔ったテメェのために部屋を一部屋取ってくれたらしい」



わ、私が……酔った? 今まで酔ったこと一度もないのに。


やっぱり、体のどこかがおかしいのか。



「そこで一晩過ごして酔いを覚まして来い。

総司、お前も一緒にいてやれ」



突然ぶっこまれた言葉に思考が硬直する。


恋人同士水入らず、な。と余計な一言まで付け加えられ、顔が赤くなって仕方ない。



「じゃ、また明日」



ニヤリと笑った土方さんは何も言う暇がなくバタンと閉められた。


後ろを振り返ると表情をないも変えてない総司の姿があった。



「ふ〜ん。土方さんも粋なことするんだ」



月の光が反射した総司の目は煌々と光る。


ガラガラっと開けられた部屋の向こうには佳鈴さんが。



「沙雪はん。お着替えしませんとなぁ〜。

総司はんは他の人に案内させますから、部屋で待機していておくんなまし」



にっこりと笑った佳鈴さんは私のことを引っ張って部屋から出て行く。



ああ。先が思いやられて仕方ないぃぃぃっ。