「ん……?」



目をさますとそこは屋敷よりもずっと暗く、静かだった。



「やっと起きたの? さゆ」

「総司」



髪を撫でる総司を私は見上げていた。


柔らかくも硬い感触が頭の後ろにある。



「ひ、膝枕……?」

「そうだけど」



淡々と言いのけた総司にびっくりして飛び起きてしまう。


でも、飛び起きた瞬間頭がぐわんぐわんして頭痛がする。



「こら、まだ酔い覚めてないでしょ」



押し戻されて、太ももの上に頭を置かされた。


ニコニコと笑っている総司は髪にたくさん差されていた簪を一本ずつ抜いて机に置く。


軽くなっていく頭に私は体の力を抜く。



「ったく、急に変なことしだすからびっくりしたんだけど」

「へ?」



変なこと? 何したの私⁉︎


それを聞くと秘蜜と唇に指を添えられた。


それだけで、動けなくものだからチョロいな、私。



「……ほんっと抑えられそうになかったんだから」

「っ」


月明かりに照らされている総司の瞳が……なんだろう。


とてつもなく妖しい。


背中がぞくっと震える。


簪を全部外して髪を下ろした私の髪を指に絡めている様が……恐ろしい。


いままでの総司と違う。何というか……男の顔っていうの?


全てを奪われそうな感覚に酔わされそうになっていると襖が開けられた。