「……あの二人、特に総司は昨日まで殺気で人を殺しかねないほど機嫌が悪くてな。
見回りにやっても街の人に恐れられる羽目でそりゃあもう大変だったんだ」
想像できてしまう自分が恐ろしい。
てか、一月そんな状態だったの?
「平助も平助で自分のせいで新八が剣を握れなくなったって落ち込んでやがるし、
組長二人がそんなんじゃ駄目だって何回も言ったんだけどな」
苦笑まじりにそう言った左之さんは私に視線を走らせた。
「だからテメェが早く目を覚ましてくれないかと期待してた。
……二人ともお前に惚れてるからな」
「……そうです……かぁあ!?」
は、はぁ!? と、藤堂くんが私に、惚れてるぅ!?
「ないないない」
そう言うと笑った左之さんは「勝手にすりゃあいいさ」とつぶやく。
そんな……藤堂くんが私のこと好きなんてありえない。
そんな素振りは見せなかったと思う。
第一そんなに私は魅力ないし、総司に惚れてもらえたのも偶然だよ!
京の町にはもっと美人さんもいるし、気前のいい人だっている。
剣を振り回す男みたいな女を好きになる物好きは早々いない。
だから……
ありえない、よね?