妖しの姫と天才剣士




どれくらい、そのままでいたんだろう。


ほんのちょっとな気もするけど、一刻ぐらいそうしていた気さえしてくる。


不思議だなぁ。


目を開けたら同じように目をあけた総司と目が合う。


優しげに細められた総司の目。


……ああ。今、私。



「とぉっても幸せ」



唐突すぎて総司は目を丸くする。けど、すぐに笑みを浮かべた。



「僕もだよ。さゆ」



そっと抱きしめ、優しく頭を撫でられる。



大好き。大好き、大好き!


その気持ちが溢れ出て止まらない。


ギュッとしがみつく。



「うわっ!」



どさっと布団の上に総司は倒れこんだ。


というか、私が倒したのか。



「面白い顔」

「……っ。うるさい」



片手で顔を隠してはいるけど顔真っ赤なのはバレバレ。



「はぁあああ〜」

「何、どうしたの」

「いや、私重症だなぁって」



こんな恥じらってる総司を見るだけでまた『好き』って言葉が溢れそうになる。



「バカになった」

「はぁあ!? 何言ってんの!? 急に!」



このやりとりでさえもとっても幸せな気分になるんだよ。


ねぇ、総司。


あなたもこんな気持ちでいてくれてる?