……誰か、助けを呼ばないと。


近藤さんや、永倉さん、藤堂くんたち、を。


私だけじゃ到底此処から助け出す事は出来ない。


私は血が足りなくてフラフラだし、第一私と総司とでは体格が違いすぎる。



「待ってて……総司」



すぐに助けてあげるから。


そっと後ろに目配せをし、微笑んだ。



「う……っ」



思い出したかのように痛み出した傷口を抑えながら階下へと降りようとしたとき。


銀色の影が横切っていったのが目の端に映り、足を止めた。



「っあ!」



思わず尻もちをついて見上げる。


目の前に降り立ったのは大きな狐だった。



「……っ」



軽く首を挙げた狐の瞳は煌々と煌めいた『紅』


その色は不気味なくらいに恐ろしく感じる。



「妖狐……!」



最悪だ。こんなに大きい妖狐なんて今までに見たこともない。


今、此処で出くわしてしまうなんて!


ふらっと揺れながら刀を……構えた。