妖しの姫と天才剣士




首を落として座り込んだ総司とその向かい側に立っている……男。



「ああ、やっと来たんだね。姫様」



にっこりと笑みを浮かべた彼の姿には見覚えがある。


白髪で不気味な笑顔を見せたあの彼とよく似た––––!



「真響ッ!」

「はぁ……そんなに声は上げなくて良いとは思わないかい?

……あぁ。もしかして、彼のことか。由羅の仕掛けた呪符はよく効いてくれた」



由羅の仕掛けた呪符……。この間総司の言っていた体を壊した……原因。


私の目には血に塗れた総司の姿しか目に入ってなかった。


青白くなった顔に固く閉ざされた瞼。


脳裏に今朝見せてくれた総司の笑顔が浮かぶ。


悪戯っぽくて、子供のような満面の笑み。



「あ、ああああッ!」



私の所為だ。もっと早く駆けつける事が出来なかった。


私が、新選組に来た所為で総司は呪符に呪われる事になった。


私が判断を誤ったせいで。


私が、全部……っ!



「そ…………じっ」

「あれ? もしかして姫様はまだ彼に未練があるの?

君のせいで血を流している者が大勢居るのに」



にっこりと無邪気な笑顔を浮かべ、刀を総司に向けて----。