「はいっ?」
投げ渡されたもので視界が覆われる。
それは浅葱色。
これってまさか。
そう思って離すとやっぱり浅葱にダンダラ模様。
新選組である事の証の––––!
「皆さん着て行きましたよ。……こんなに暑い中でも」
天を仰いだ山南さんの顔には少しだけ憂いの表情を浮かべていた。
でも、その中には晴れ晴れともした表情が見え隠れしていて。
山南さんもやっぱり新選組の隊士なんだ。
この羽織に魂を持っている。例え戦場に迎えなくても心は一つなんだって。
「そうなんですか……!」
そしてそれは皆にとっても変わらないもののはずで。
ひどく馴染んだ羽織りに袖を通す。
うん、これでこそ、新撰組だ!
「早く行きなさい。……沖田くんには一緒に怒られてあげますから」
優しげな笑顔を見せてくれた山南さんはそれだけを言うと奥に引っ込んでしまった。
ありがとうございます、山南さん。
もしもの時は……私と一緒に怒られてください!
怒られるのは二人とも無事に生き残ってからですね。
「行くぞ、茅野」
「はい」
先導する山崎さん後ろを走りながらギュッと襟を握りしめる。
総司、今すぐ追いつくから!