妖しの姫と天才剣士




「失礼します、副長」



重苦しい雰囲気の中を割って入ってきたのは山崎さん。


町人の格好をした山崎さんは黙って土方さんに近づくとそっと耳打ちをする。


何かあった?



「尊王派の連中が古高俊太郎を捕縛した情報を入手したらしい。

……そして、その襲撃計画を中止するか否かという協議が今夜、行われるようだ」



そう言う土方さんの頰には珍しく脂汗が滲んでいる。



「展開がおっそろしく早いなぁ〜」



乾いた笑い声を上げながら笑う左之助さん。


直後、緩んでいた表情が今までに見たこともないくらい引き締まるのが見えた。


左之助さんたちでもこんな表情をするなんて。



「会津藩にも文を拵えて応援を要請しよう。

山崎、それを持って行ってくれ」

「分かりました」


山崎さんと土方さんは席を立った。


それに続くように近藤さんたちも部屋を出て行く。


私たちもいつまでもここには留まってられないよね。


人数が少ない中で休んでいる時間なんてないだろうし。



「さゆ」

「ん?」