「ちょっといいか? 総司、茅野」



障子越しに聞こえてきた土方さんの声に固まらずにはいられない。


この状況見られたら結構ヤバいんじゃ……。


顔を見合わせた総司も顔を引きつらせてるし。


冷静になって、着物を着直すと髪を掻き上げた総司は障子を開ける。


いけないいけない火照った顔を慌てて冷やす。


障子の向こうは明け方らしく、山の向こうから日が照り始めていた。


って、そんな時間から何しようとしてたんだろ、私たち。


冷静になると恥ずかしすぎる〜っ!



「何ですか、土方さん。邪魔してくれちゃって」

「生憎だが、そんな冗談に付き合ってる暇は無いんだ」

「冗談じゃ無いんですけど〜」



こんな所で軽口を叩いてる余裕はないでしょう!


土方さんの様子はいつも以上に緊迫している。


何かがあった、そうとしか思えない。


血の匂いだって濃いし。


刀も差してないから見回りにいっていた訳じゃ無いだろうし。



「早朝、重要な人物を捕縛した。

古高俊太郎。相当ヤバい匂いがしやがるぜ」



額を伝う汗を拭いながら言った土方さんの言葉に息を呑まずにはいられない。


いつの間にか色んな事が動き出している。