妖しの姫と天才剣士




「っ」



そっと顔を近づけて告白した日以来、久しぶりの口付けを。


自分からなんて初めてで、もう頭がいっぱい。


あ、でも恥ずかし。


唇を離すと赤面した総司から顔を背ける。


耳の側で鳴るドクンドクンと鳴る総司の心臓の音。まだ、生きてる。


私の側に居て––––––って、そう言えば確認してなかった事が。



「総司」

「なっ、何」



まだ、顔が真っ赤なままで狼狽えている総司。



「総司は私の事、好き?」



結局、まだ分からない。


私を避けていた理由は分かったけど総司は私の事が好きなままなの?


何となくは分かっていたけど、ちゃんと総司の言葉で聞きたい。


赤面していた顔を更に赤くした総司は私の頭をわしゃわしゃっと搔き回す。



「……っ。好きだよ、その気持ちは変わらない。

避けてたのに言える事じゃないけど。まださゆの事、大好きだよ」



しどろもどろだけど、ちゃんと、言ってくれた。


私が一番欲しかった言葉を。


自然と破顔していくのが分かる。