結局、私は次に持ってきて貰ったものから今と近い濃紺と黒紫を選んだ。
「うわ、地味」
横から口を挟んできた沖田さんに口を尖らせる。
「別に良いじゃないですか。目立つ必要ないんですから」
「あと、着物も一、二着買っとこう」
そう言うと、沖田さんは本人の私を放っておいてを選別をしだす。
その事に困惑を隠せない。
使わないと思うけどな。私。
それに、男装しなければいけないのに女物の着物なんて使う？
でも、熱心に選んでくれているのだから文句は言えない。
「じゃ、これでいい？」
桜のあしらわれた可愛らしいものと、黒と青が主調の雪景色の描かれた着物。
とても綺麗。
だけど、私には似合わないような気がしてならない。
「私、そんなの着た覚えないんですよ。そんなのあまり興味ないし。だから」
「あっそ。なら、これでいいね」
いらないって言おうとしたのに。
私の意見なんて関係ないらしい。
さっさとそれらを運んでいくとお金を払って戻ってくる。
「後は最後の場所！」
沖田さんは目を輝かせると一直線に走りだした。
