と言って出てきたものの、六月の暑さはは気持ちの良いものじゃない。


桜の木だって春の余韻をあまり感じさせなくなった。


木陰には丁度いいんだろうけど、夜だし意味がない。


でも、四月の花見の思い出は昨日の事のように思い出された。


あの時ぐらいまでが一番総司と仲良かった気がするんだけど。


皆でどんちゃん騒ぎして、左之助さんたちはお酒で寄ったり。


私と総司は二人で桜餅を馬鹿なくらい大量に食べたり。


斎藤さんが分かりやすい位に微笑んでいるのを初めて見たり。


土方さんは……相変わらず眉間に皺寄せているかと思いきや、笑っていて驚いた。


それでもやっぱり総司がからかって、怒らせてたけど。


こんな楽しげな宴の時くらい優しくしてあげれば良いのにと思ったけど、止めない私。



「楽しかったなぁ〜」



はぁ。


な〜んて、思い出に浸るなんてらしくない。


歩いている内に市中にまで出てきていたみたい。


蝉の音ぐらいしか聞こえない町は土方さんの言う通り少し不気味だ。


嵐の前の静けさって奴かな。