妖しの姫と天才剣士




「あの中の色でも良かっただろうに」


沖田さんがいつの間にか近づいてきてて、私にそう言った。



「え?」

「多少明るいけどあれ位なら似合うと思うけどね」

「でも、あれだと」



声を潜めて沖田さんに囁く。


あまり、聞かれる訳にはいかないから。



「返り血が目立つ。血は落とすの面倒だから」



軽く目を見開かせた沖田さん。


何かおかしい事を言った?


至極真っ当な事を言ったつもりだったのだけれど。


だって明るいと返り血が目立つし、夜は暗い色の方が目立たない。


やっぱり、服を選ぶ基準がおかしいのかな?



「そんな事考えずに選べば良いのに」

「私、明るい色嫌いだから」



素直に零れ落ちた言葉に総司は笑う。



「ははっ、じゃあ結局変えてもらわなきゃ駄目だったんだ」

「……うるさいな」

「茅野ちゃんの可愛いとこ見っけ〜」

「可愛くないっ!」