まだ、止まらないの?



「ど、どうしたの⁉︎ 藤堂くんってば!」



強い力で引っ張られて、引っ張り返してみても意味がない。


少しずつ痛みを帯びだす手首に藤堂くんは気づいていないみたいだった。



「座って」



私の頭はまだ状況を整理出来ていない中、藤堂くんに押さえられて縁側に座る。



「なぁ、総司と何かあったのかよ。聞かせてくれねぇか?

俺、頼りないかもしれないけど沙雪の力になりたい」



その真っ直ぐな目を見て、思いが溢れでてくる。


今まで、ずっと聞きたかった。でも本人には決して聞けなくて。


怖い、怖いの。事実かどうかを確認することが。


でも、藤堂くんになら素直に話せる気がした。



「……………………総司ってさ」

「ん?」

「私の事嫌いになっちゃったか……っな」



言葉に出すと現実が痛い程に突きつけられる。


溢れ出す涙が止まらないや。


「ごめ、今とめ」

「無理して、堪えなくていい。泣きたい時は泣いてもいいんだからさ」



優しく頭を撫でる手に堰が崩れ落ちる。



「っく、や、や、なの……」



嫌、嫌だって訴える私がいても、総司にその気がないなら意味もない。


ようやく、大切な人出会えたって思えたのに。


こんな私の手を取ってくれる人がいるんだって。


でも違った。私になんて与えられていなかったんだ。人並みの幸せなんて。


何も喋らず泣いている私の頭をただ黙って撫でている藤堂くん。


でも、それが総司じゃないことにさえ泣けてきてしまう。


ごめんなさい、藤堂くん。今の藤堂くんの方がよっぽど優しいのに。


総司の事を考えるだけで心苦しくなって息がつまりそう。


なのに近くにいないと心細くて、寂しくなるんだから。


涙を止めない私は強く、藤堂くんに抱きしめられた。