妖しの姫と天才剣士




「他にもあるけどここが一番かな。色々種類あるし」



うんうんと頷く沖田さんの影に隠れる。


大きなお店でお客さんも多い。


こんな中に入る事に気が引けた。


と、言うか入った事がない。服なんて貰うか、拾うかだったから。



「いらっしゃいませ〜。お客様、今日はどんな服をお求めでしょうか」

「い「袴と着物を数着お願い出来ますか?」

「かしこまりました。少々お待ちください」



そう言って持って来られたのは明るめの色の生地で作られた物。


私はその色を見ただけで絶句しそうになった。


無理無理!


明る過ぎる。そんな色きた事ないし。似合うわけない!



「あの、もう少し暗めの色は無いんでしょうか?」

「わかりました」



申し訳なさげにそう言うと、店員はその布を下げる。


新しい生地を探しに行った店員さんをみて途端に申し訳なくなってしまう。


仕事増やしちゃったな……。