妖しの姫と天才剣士




妖力が保たなくなった?



「私たちがこの格好をする事が出来ているのは妖力の増強に他なりません。

元から力は強い私たちでしたが、人に変化できる程の力はありませんでした。

増強の理由は神の力に触れた事です。

……ですが、未だにこの体に力が馴染んでいないようですね」



ちょこちょこと斉藤さんに四つん這いで近づいた水狐さん。


ふぁ〜と欠伸をするとぽふんと音を立てて狐の姿に戻った水狐さんは丸まって寝る。


可愛い〜っ! なんて柄にもないな。でも可愛い。


頰が緩む私を他所に。



「……済まないな、あいつは体が弱くて」

「別に〜。…………ただ、何か話が飛びすぎて理解しにくいな〜なんて」



私を挟んで話される二人の会話。退いた方がいいような気がするよ。


だって邪魔みたいだし。


そぉっと離れようとする私の腕をがしっと掴まれる。



「そ、総司……?」

「何しようとしてるのかな? さゆ」



笑った顔はもう恐ろしくて、恐ろしくて。


だらだらと冷や汗が背中に流れる。


やっぱり、本気で怒った総司は怖い〜っ。