妖しの姫と天才剣士




「私に頭を下げるなんて、やめて下さい!」



慌てて水狐さんを抱き起こす。その目は伏せられたまま。


逆に私の方が申し訳なくなってしまいますっ!



「私が、その美琴さんの血を継いでいても。

私は彼女じゃないんです。私は私、美琴さんとは別に捉えてください」



神様なんて見えないし、水狐さんの事だって覚えてない。


そんな、巫女の血を継いでるとかお母さんに一度も言われた記憶がない。


まぁ、そもそもでお母さんたちの事をあんまり覚えてないけどね。


クスクスと水狐さんは笑みを零す。


? 何か面白い所でもあったかな?私には全く分からないけど。



「やっぱり、茅野殿は姫様に似ております。

……そう言った所も含めて」



懐かしいように笑う水狐さんに私は何も言えない。


すると、ピョコンって水狐さんの頭から狐の耳が。



「「……は?」」



開いた口が塞がらない私たちをよそに水狐さんはその耳を撫でつけた。



「あらあら。妖力が保たなくしまったようですね」