妖しの姫と天才剣士




「へぇ……そんな力あるんだったら是非とも……」



瞳の奥が妖しく光り出す土方さん。


真響の言ったこと、間違ってないじゃないか……。


背中に嫌な汗が流れてるような……。



「土方さん。変なこと考えないで下さいよ。

さゆを傷つけようとしたら許しませんからね?」

「んなこたぁ分かってるよ! 冗談だ、冗談!

第一そんな訳も分からん理由で隊士に血を流させる訳にはいかねぇよ」



心外だという顔の土方さん。いや、貴方絶対に実験しようとしたでしょ!


おお、怖っ。



「妖は神の内に孕んでいた禍が吹き出し、取り込んでしまったモノが原形なのです。


恐怖、憎しみなどの負の感情が妖を作り出す。


ただでさえ恐怖や怒りなど決して良くはない感情の漂うこの場所では妖の量も多くなりますね。


現の安寧を保つ為にも新選組の存在は欠かせません」

「そう言う目論見があって俺たち新選組は作られたってのか?」

「はい。きっとそうです。そのままにしておけば増え続けるだけで決して減りはしませんので」



色々な思惑の上でこの人たちも生きてきたんだなぁ。


土方さんって私と十歳くらいしか変わらないのに大変だな。