妖しの姫と天才剣士




「茅野殿は……我らの姿を戻すことの出来るかも知れない唯一の方。


それを本能的に知っているのがきっと妖なのです。


そうでなくても、姫様の持つ妖力は妖の力となります。


そして、あの真響と名乗った彼はその理由を最初から知っていた模様」



水狐さんは胸元に手を当て頭をさげる。


……彼は私の事を知っていた。だから私の村を、両親を殺したんだ。


その血を継いでいたのはお父さん? それともお母さん?



「利用すると言ったのはきっと我らが居るからだ。


その血があれば、我らの力を上げられるのだからな」



欠伸をしながらそう言った雷狼さん。


やっぱり、戻りたいものかな? 人の体に。



「力を強くするのは姫様の持つ妖力。そして元は癒しの神だった清は傷を癒す。


その血を持っているので傷も治りやすくなるのではないでしょうか?


我らの村は大層その力に頼ってきたものです。


それに新選組も頼るのではないか、彼らはと考えているのでしょうね」



私の力……ねぇ。確かに傷の治りが早い事は自覚していたけど。


他の人を癒せるなんて考えた事もなかった。