妖しの姫と天才剣士




「悲しくなんてないです。……悲しくなる理由が私にはありませんから」



私は思った通りに答える。


私の祖先の話が分かった。どんな目にあったかだけを想像しか出来ない。


想像じゃ本当の痛みなんて分からない。


ただ、真響の狙いは分かった。


付け狙われるのはこの血を狙って居るから。


でも、まだその理由が分からない。



「……取り敢えずお前らが元は人だって事は分かった。

だが、何故茅野が狙われる? その姫様の血がどうしたってんだよ。

その神様とやらは……もう居ないんだろ?」



確かに。話しぶりじゃ生きているとは到底思えないや。



「副長殿。その考えに間違いはございません。


ただ。その神は妖を生み出した最初の神なのです。


そして、その身を消した神は禍に呑まれそうな自身の力を全て姫様に移された。


神の力は治癒でした。難病も怪我も治すような人の思慮では測れない力。


唯一の清を持ち合わせた茅野殿は我らの内にある禍に唯一対抗出来る力です。


茅野殿は彼女の力を全て取り込んでいます。


そしてそれは、神の背負っていた禍も一緒に取り込んでいて、一番の負気を取り込んだ者でもあるからなのです」