妖しの姫と天才剣士




「いつの間にか辺りの人は人ではなくなっていた。


我らも同じ様に姿を動物と同じ様に変化してしまったんだ。


その理由は簡単だった。


神の今まで溜め込んできた禍を浴びすぎたんだ。


我らの負を一手に引き受けていた神が実体を失ってしまえば抑えが効かなくなる。


内に秘めていた禍が漏れ出すのだから仕方ない。


身を引きずりながら近づいてきた神はなぁ、我らに頭を下げたんだ。


『済まなかった』とな。


正直それには驚いた。悪いのは我らの村人であり、神ではないのだから。


膝をついて姫様に顔を近づけた神は額をくっつけて姫様に何かをした。


姿を消していく神と同時に我らの体も持たなくなってしまった。


そして、その後の記憶は……すまないが無いんだ。


ようやく自分を取り戻したのが姫様、茅野に出会ってから。


それ以前は何かの足りない違和感が大きいくらいだった。


だから、あの場所では『姫様』と呼ぶ理由も分からなかった。


我らで事をつなぎ合わせ、事情を整理するの時間がかかった。そのせいで時間を空けてしまう事になったんだ。申し訳なかったな」

「い、いえ…………。気になさらないで下さい」



彼らが思い出した。それは私に関わったから。


私の中の何かに雷狼さん達の記憶が呼び起こされた?



「今言えるのは、茅野は姫様の血を継ぐ。

……そなたにそんな悲しい顔をさせるつもりはなかった」



私、悲しそうな顔してるの?


自分では分からない。


悲しくなる理由が分からないの。