「豊かな土地だった。我らが住んでいた場所は。人里離れた場所だったが幸せに過ごしていたよ。


村人たちは信仰していた神の力によって生かされていた。


その神は村の奥の祠に祀られており、そこにはその神を守る巫女が居たんだ。


その名は『神代 美琴』


姫様と呼ばれて村人からも愛されていた彼女と我らは同い年だったよ。


姫様は姫……茅野にとっても似ていてとっても美人だった。


笑顔がとても似合う少女であり、唯一神に接する事のできる人間だった。


他の者には加護こそあれど姿は見えなかった。現さなかったんだ。


神は力を貸せど警戒心は解かなかったのだ。だから接する人も一人に絞っていた。


まぁ、我らは普通に農耕をし、苦しい事はあれど幸せに暮らしていた。そう思っていた。


けれど、あらぬ事に一部の村人たちが神というものを妬み、殺そうとし始めたんだ」



私は、そしてこの場にいる全員が同じ様に目を見開いた。


神様を……殺す?


いや、神様なんて信じてないけど。


そんな事許される訳ない。そもそも、見えない神様を殺せる訳……。