「姫様……ねぇ。まぁ、確かに言えなくもないのかも」

「はぁ⁉︎ 何で総司まで……」

「だってこの黒髪だって綺麗だし、立ち振る舞いもなんか普通と違うんだよね」



私の髪を一房だけ持ち上げると総司は顔を近づける。


やめない?


恥ずかしいんだけど。


そうじゃなくても顔が近いだけで顔が赤くなる。


そんな顔を見られたくなくて顔を背けるけど横から「ククッ」と笑い声が聞こえる。


絶対にバレてる。それでも笑わなくたっていいじゃないか!


「髪の毛だっていい匂いするしね。同じ所で過ごしてるなんて思えない。

それとも、茅野ちゃんの匂い?」

「なにその言い方。私が臭いと?」

「違うってば。僕最初にいい匂いって言ったじゃん。

あれ? もしかして照れ隠し?」



肩を離して地面に落としてやろうか。


拗ねてたのが怒りにまで変わりだした。


でも、そんな事出来ないのは私自身がよく分かってる。


ずっしりと掛かる重みが嫌じゃなかった。


頑張ったもんね、お疲れ様。


無理して笑わなくてもいいのに。



「お疲れ様。総司」



頭をそっと撫でる。