妖しの姫と天才剣士




「…………。テメェは殺されたいのか?」

「いやいや、そんなの御免ですよ。

何であの死線潜り抜けたのに土方さんに殺されなきゃならないんですか」


手を振って、茶化す総司。



「ならその無駄な事ばかり言う口を閉じやがれ」



ぷんすか怒りながら土方さんは由羅の遺体を抱えた斉藤さんと山崎さんを追い掛けた。



「う……」

「総司⁉︎」




土方さんたちが森の中に行って見えなくなった直後に総司が膝をつく。


慌てて駆け寄ると総司はきつそうに全身で息をしていた。


そんなにあの技は疲れるのか。


いや、違う。あれだけじゃないんだ。


由羅との一騎打ちをして、あんな大量の妖を相手にした。


いつ倒れてもおかしくない状況だった。


……もしかして、土方さんはそれを分かってたの?



『お主はあれしきの事で倒れるような非力になったのか?』



総司に肩を貸して立ち上がろうとした時に雷狼からそう話しかけられた。


傷ついてる主に向かっても容赦ないね〜。



「うるっ、さいな。

戦ってる最中だってのに全力で取っていったのはそっちじゃないか」

『それでもお主の消耗はいつもより少なかったと思うが?』

「う……まぁ、まぁ、だけど確かに。

前みたいに気絶はしなかったし」

『姫様に感謝するのだ』



私に感謝? そんな感謝されるような事してないよ。


あと。


……まだ、姫様?


ちょっと飽きれる。