妖しの姫と天才剣士





「奴が言ってやがったのはこの事か!

くそっ、まだ当分は帰れねぇな」

「そんな事言ってる場合ですか?土方さん」

「…………るせぇ。とにかく! 早く片付けるぞ。

俺らだってこいつらに付き合ってる暇なんてねぇからな」

「「「了解!」」」



一度は収めた刀を抜き放つ。


今度は私だって戦える。体を狙われている訳じゃないから。


刀を抜いて、前に出ようとした私の前に雷狼が出てきた。



『主はここに居ろ。姫様よ』

「はぁあっ⁉︎」



初めて雷狼が口を開いたかと思うと私はここに居ろと⁉︎


また、戦力外通知⁉︎


いい加減戦いたい〜!



『従ってはくれませぬか姫様よ。あの者たちの狙いは姫様なのです。

我らを呼び出している主人たちの力もそう長くは保たないでしょう。

短期決戦で行くには姫様にここにいてもらった方が良いのです』



うぐっ。


斉藤さんの狐にまで言われてしまったら反抗出来ない。


と言うか、なんで皆姫様って呼ぶの? 気づくの遅すぎかも知れないけどさっ。


女声の狐さんは低頭的だけど、総司よりも低い声の雷狼は威圧的。


どっちかというと土方さんの方が似合ったんじゃない?


……理解した。


私は最低限しか動くなって事でしょう?


最低限、しかね。



「分かった」



明らさまにほっとした様子の皆。でも。



「でも、私だけ引っ込んでる訳には行かないから」

『『『『はい?』』』』



目を丸くした妖たちにしてやったりの笑顔を見せる。



「この場を動かずに斬ってやるよ。自分の身は自分で守る」



そんな事、私には造作もない。


鬱憤を晴らしたい。今まで動けなかった分、余計に。


私は迫ってきた妖を上から斬り捨てた。


ああ、これは怒りだ。


今まで動けなかった腹いせ。