妖しの姫と天才剣士




すぅと白髪が黒髪へと戻る。


何か不思議な光景だな、これ。


そう思いながら見ていると、茅野ちゃんの瞼が再度ピクリと動く。


身じろぎをした茅野ちゃんはパチリと目を開いた。



「そ…………う、じ…………!」



目を見開いた茅野ちゃんは胸もとへと手をやった。


そこには傷があった筈。あいつが付けた傷が。


でもそこは着物が破れて血が付いてるだけで傷はない。元の白い肌があるだけだ。


でも、なんで?


確かに茅野ちゃんの体をあの刀は突き抜けていた。見間違えなんかじゃない。


そうでなくても、傷跡が跡形もなくなるというのは一体どういう。


そんな事を気にしている僕の胸に茅野ちゃんは飛び込んできて、よろけた。


ギリギリ俺が手を付いて倒れなかったものの、どうしたの?