むくりと立ち上がった茅野ちゃん。
その背格好は変わらないのに、やっぱりおかしい。
白銀の髪。
薄く開けられた瞳の奥は煌めく金に輝いていた。
「ふぅ〜ん。やっぱり正解、か。
でも、あの力は凄いや。妖が狙うのも分かる。
––––僕も、欲しい」
「何言ってんだ!」
茅野ちゃんが生きてたのは良かったけど、あの姿は何。
いつもの茅野ちゃんとは格好も雰囲気も全く違う。
いつももどこか冷たい部分があると思われがちけど本質は優しい娘だ。
優しくて、強そうで、弱い子。
でも、今の彼女は無だ。何にもない。
違和感が怖い。
背筋に冷や汗が伝う。
今の茅野ちゃんの姿は嫌な予感しか感じさせなかった。
