「こんなの聞いてないんだけどッ! 何であんたら妖使えてる訳⁉︎
完全に使役出来るなんてありえな」
「それがあり得るんだなぁ」
ニヤリと笑む副長。
そして、その視線は山崎さんへと移って。
「こいつが妖術? の手ほどきを受けてて、それを軽く教えてもらった。
俺の相棒は江戸の近くで暴れてたのをこの刀で連れてきたんだよ。
まぁ、使役するっていうかこっちも力をやるから力を貸せって感じだけどな」
そう言ってポンポンと剣の峰を叩く。
由羅が怪物って言った理由も何となく分かった気がした。
妖の力を使うなんてあり得ないよ。
しかも鬼?
で、契約の仕方が力をやるから力貸せって。
乱暴っていうか、適当? 普通じゃないでしょって言いたくなる。
その普通が通用しないのがここ、新選組なんだろうけど。
「厄介なとこに捕まっちゃった訳だ。
爺さんとかの家に拾われただけなら良かったのに! それなら簡単に始末できたのにさ〜」
それは、何の関係もない人を殺すってことだよね。
沸々と怒りが湧いてくる。
面倒気に目を細めた由羅は胸の前で何かを切った。
「飛べ、陽炎」
一瞬にして噴きあがった炎。
それは敵味方関係なく燃やし尽くす勢いだ。
一体–––––何をしたいの?