妖しの姫と天才剣士




後ろを振り返れば木が一本倒れてる。


断面がとても綺麗で思わず見とれてしまうくらいに。


でもそれと同時に背筋がぞわぞわぁっとする。


こんなのマトモに受けたら人なんて簡単に死ぬよ!?



「おいコラ。勝手な事してんじゃねぇ」

『クヒヒッ。イイジャンカー、タノシイヨ?』



何独り言を……って思ったらあれ、下に誰か居る?



「うへぇ。風鬼《フウ》が……」

「風鬼?」



確かに土方さんの足元に白っぽい小鬼が見えるような。


角を一本生やした鬼。


二人並んだ様子はなんだか動物を連れている人のようだけど。


でも何か、違和感。


そう。



「似合わないな」



可愛らしい感じが土方さんと合わない。


小っちゃいし、ケラケラ笑ってるし。


『鬼』の副長に『鬼』はお似合い……かもしれないけど。


土方さんが『鬼』ならそれは『小小小鬼』


可愛らしいとしか言いようがない。


残念ながら、二人の共通項があるとは到底思えなかった。